>>chapter 2
第三十一世―――兵器、"インテリア"―――
夜――――――。
雲隠れした月を見上げる黒髪の少女が、昔を思い出していた。
彼女は東城美月、13歳。もうすぐ他国との本戦が待っている。
*
「んじゃ、明日から戦闘練習開始な」
「はーいっ」
五歳の美月は部屋のベットに座りながら、出て行こうとする望に返事をした。
望の後ろにはライク、睦月鬼、世希、ホワッチィ、市がいる。
やっと全ての荷物を美月の部屋に運んだのだ。
扉がパタンと閉まった。
「明日からかぁ・・・また、闘うんだねー私」
「美月の選んだ道だろ?」
ユフィールが直ぐに抗議する。
美月は笑い「分かってるよ」と言った。
ベットから立ち上がり、本棚の前へ行き、本を一冊抜いた。
「何だ、それ?」
「全てアラリアで書かれている、ルートノ著者の古代本」
アラリア―――――とは龍語のことである。
美月はヒラヒラと振り、ユフィールに見せ付けた。
「睦月鬼に教えてもらった童話じゃなくて、ルートノがここに来た理由だとか・・・
なんか日記って感じ。ルートノの忘れ物」
ルートノはここを訪れていた。
睦月鬼の話を聞いて、確信が取れた。
美月は本をぱらぱらと捲った。
そしてパタンと音を立て、閉じた。
――――――なんで今更、こんなこと気にしてるんだろう。
私の、馬鹿。阿呆。クソったれ。
「気にしないことにする。もう、ここにはいないんだし」
美月が微笑むとユフィールもフッと笑った。
「龍のことは・・・忘れるよ・・・今は、自分に集中する・・・」
「あぁ・・・そうしろ・・・」
この日は雲の中に薄っすらと月が輝いているのが見える日だった。
美月は月を見上げ、微笑む。
騒ぐ血を、抑えながら・・・・・・。
次の日、美月は朝早くに起き、望の部屋へ向かった。
望の部屋の前で一呼吸し、トントンと扉を叩いた。
――――――返事なし。
(まだ、寝てるのかな・・・?)
美月は扉を押してみた。
扉はゆっくりと開いた。
(鍵・・・開いてる。)
美月は一歩、部屋に足を踏み入れた。その時、真上でガシャンという音がし、
美月は気配を感じた。
美月は素早く動き、上から落ちてくるものを避けた。
カーペットの上に包丁等が刺さっている。なんだろう、これは・・・
すると後方で拍手の音が聞こえた。
美月が振り向くと、望が少し笑いながら拍手していた。
「おはよう、俺のお姫サマ?」
赤蒼のオッドアイがニヤつき、美月を見ている。
美月はフッと笑い「髪、くしで梳きなよ」と言った。
「俺はいつもこんなんだ」と望は言い返したが美月は「寝癖は違うでしょ?」
と言った。
正直、望はハンサムだと美月は思った。
髪は肩に少しあたる、セミロングの青黒。誰でも見透かすようなオッドアイ。
手はやたらアクセサリーだらけ。肌も綺麗だし、なかなかのスタイル。
服装は・・・キザだが・・・。
ホストか、と言いたくなる。
言っても、ホストなんて言葉、知らないだろうなぁ・・・
「さて、練習の前に、武器、いるかどうか聞かねぇと。何なら使える?」
「剣」
美月は素直に、そして率直に答えた。
「剣しか使ったことない」
と、後から加えたが・・・。
望はへーと言い「接近戦攻撃手、ってワケか」とぼそりと呟いた。
「こっちこい」
望が呼び、美月を奥の部屋へと導いた。
奥の部屋の扉を開けると、そこは色んな武器がインテリアのように
飾られていた。
「好きなヤツをやるよ。あと、お前接近戦みたいだから長距離のこと、少し考えとけよ」
美月は手を、指先を、自分の心臓部分に突き立てた。指先が光ったかと思うと
手は美月の中へ入っていき、手が出てくると同時に、ユフィールが出てきた。
「武器、くれるんだって」
「え・・・?何だよ・・・寝てたのに・・・」
望はこの行動にやっぱり慣れず、唾を飲み込んだ。
ユフィールが大欠伸をしている間にも美月は装飾された兵器達を
目を輝かせて見ていた。
―――To be continue...