いつから、
そんなことが言えるようになった?
そんな笑い方が出来るようになった?
媚 笑
剣八は、の問いに間抜けな声を出した。
「…してぇのか?」
「いや、わざわざするもんじゃないってのは分かってるけど」
「で?どっから聞いてきた」
「」
「……あいつはロクなこと吹きこまねえな」
穏やかな昼下がり。
剣八とで二人きり。
そんな中、が剣八に言った言葉は、
「ねえ、なんで私たちって喧嘩しないのかなぁ」だった。
そりゃあ喧嘩なんてしたことないし、どっちかが機嫌悪くったって喧嘩に発展したことはない。
それにの言うとおり、わざわざするもんでもない。
「普通ね、こんだけ長く付き合ってたら何回もしてるんだってさ」
「……へぇ」
「…私は…剣八としか、こう…付き合ったこと、ないから…分かんないけど」
恥ずかしそうにそう話す。
剣八は面白そうに笑った。
「喧嘩の種類にもよると思うがな…どんな喧嘩がしてぇんだお前は」
「だからしたくはないんだって…ただ聞いただけ」
「俺らが喧嘩したら多分すげぇことになるだろうな」
「…………」
「…………」
凄いこと。
剣八が刀持ち出して怒鳴り散らして。
は刀と鬼道使い放題で。
建物ぶっ壊して、周り巻き込んで、血みどろになってそうで。
在り得ないけど無くはない想像をしてしまった。
「……あぁ…なんか…私殺されちゃいそうだよね…」
「…殺しゃしねぇけどよ」
剣八は呆れたため息をついた。
そしてまだ何か想像しているんだろうか、動かないの頭を小突いた。
「いてっ」
「んなモンしねぇにこしたことねぇだろ?」
「…ん」
「戦いてぇならいつでもやってやるぜ」
「…ん」
「…例えお前が敵でもなあ、恐らく殺してねぇだろうよ」
「どうして?」
「こんなイイ女、勿体ねぇだろ?」
の顔が真っ赤になった。
剣八はそんなに口付けた。
「……馬鹿」
「…まんざらでもなさそうだな?」
「…剣八がそう言ってくれるなら嬉しいの」
「………」
「…他の人じゃなくてよかった」
「…考えたくもねえな…俺以外の男といるは」
はクスクスと笑って、剣八の首に腕を回した。
そうすれば剣八は、抱きしめてくれる。
耳元で囁いた。
「喧嘩なんてしないでいいよね」
「…勢い余ってどっちか死んだらそれまでだからな」
「…考えたくもないなぁ」
「だから考えなくていいんだよ」
耳元で囁かれる低い声。
は剣八の肩に預けていた頭を持ち上げて、剣八を見つめた。
剣八は柄にも無く心臓が騒いだのを感じた。
「…そうやって見るな…」
唇を合わせて、舌を絡めた。
頭を押さえつけて、細い体を抱き寄せて。
「…ぁん…」
「……ヤラしい声出すんじゃねえ」
「…だって…」
「…だって?」
「……何でも無い」
気持ちいい、だなんて言えない。
体から力が全部抜けちゃうような、そんな口付け。
「剣八」
「…なんだ?」
「私以外の女の人と、こういうことしちゃやだよ?」
「…するわけねぇだろ馬鹿」
が、束縛の言葉を言うのは初めてだった。
束縛とは程遠いレベルのものだが、初めて嫉妬の感情を表した。
この口付けが媚薬のようにの感覚を狂わせていく。
「剣八は…私の…」
「…珍しいじゃねえか…そんなこと言うなんてよ」
「……んぅ…」
口を塞いだ。
「お前以外の女に興味はねえ」
やっと離すと、息苦しさでの眼はうっすらと熱を持っていた。
そして、その眼でうっすらと微笑んだ。
…その艶かしさといったらなかった。
「…喧嘩どころじゃねえぜ、こりゃあ…」
首筋に舌を這わせる。
は剣八を軽く押し返した。
「…駄目」
「…お前が誘ってんだ」
畳の上にを押し倒して、死覇装の帯を解いた。
「…ほう…今日はあまり抵抗しねぇな?」
「……馬鹿」
剣八はニヤリと笑い、その肌に喰らいついた。
後日、喧嘩の話のその後を聞いた。
何か変化があれば面白いと踏んでいた。
だが妙に恥ずかしそうで嬉しそうなの様子に事の次第を察し、ハハッと呆れた笑いを浮かべた。
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あとがき
甘ッ…!!
なんか甘さの(私的)限界に挑戦した気がします。
最後が微エロ…本当に微ですが入っちゃったのはお許しを。
32500hit、チカタ様に捧げます。
とことん甘く、ということなので甘くしたら私が耐え切れませんでした(笑)
心なしか短く微妙なものに仕上がってしまいましたが、こんなもんでよければ受け取ってくださいませ。
それではチカタ様、ありがとうございました!
2004.7.26
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