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滅亡カーニバル 一人で城に乗り込むのは果たして頭のいい方法かと言われればそうではない。しかしそれは俺以外の万人に当て嵌まる言葉である。 俺には保身という思考があまりない。未来はこの森にしかなく、それ以外を全て棄てなければならないのならば自分を棄てても理屈は通るのだと思っている。 しかし影宮が捕らえられたのは想定外だ。(きっと兄貴はそういう辺りをついて頭が悪いというのだろう) 兄貴の部下を、志々尾の仲間を見殺しにするわけにはいかなかった。これから先、自分は汚く野垂れ死んで行ったとしても、人が死んでいく姿を見たいとは思わない。志々尾が消えていく光景がフラッシュバックする。あの森で、全てを諦めているのは俺なのになんで俺は消えてなくなれないんだろうか。なぜ志々尾の温かさを奪っていくのだろう。 元凶は、ただひとつ。 目が合う前から分かったその存在。 吐き気と共に込みあがるその直情的な生き方を表す台詞が脳を揺さぶる。 美学。あいつの生き様の為にもう大切な人が死ぬのはこりごりだ。 きっとあいつは不意打ちなどバカバカしいことはしない。そもそもそれは自分を格下と認めた上で相手に仕掛けるものであり、あいつはそんな手法は好まない。影宮の示す方向で必ず俺を待ち構えている。 その全てを飲み込まんとする皮の内側から血腥く呼ぶのだ。俺の存在を。 あいつが俺に拘る理由が分からない。あいつが志々尾を殺す理由がわからない。しかしそれをあいつに聞いたところで俺が理解できるわけもなく、納得できる筈もない。 あいつを殺したとしても幸せになるのは誰もいない。あいつを殺したところで志々尾は戻ってこないからだ。 それでも俺は途方も暮れる年月を支えたあいつの美学を目の前で切り裂いてやりたい。それは俺が志々尾の死から逃れる術だ。 真正面から、あいつに挑みたい。きっとあいつ真正面から待ち構えるだろう。 俺は笑う。予想通りの展開に。 サシの勝負はこれが2回目。どちらかの世界の終わりをどちらかが見届けよう。そして跪け、俺の前に。お前は俺に殺されるといい。 Title By OperaAlice |