ヒバリとユキ −人の生きる道って? 4−




次の日は休みだった。
その日も家には帰りたくなかった。
けれど、秋の家に迷惑はかけられないから家に帰ることにした。


ピーンポーン


「はーい。」
秋のお母さんが出ると、外で待っていたのはユキだった。
「ヒバリちゃん!!秋!!!ちょっと・・・。」
「なぁーに、母さん!!・・・せ、先輩。」


目も合わせたくなかった。


2人の間には妙な沈黙が続いた。
「どうやってここ・・・?」
ようやくヒバリの口が開いた。
「先生に聞いた。帰ろう、ヒバリ?」
彼はそういって手を差し伸べてくる。けれど彼女は何も言えない。なかなか手を出すことができない。彼女が何もしないでいるのを見て、ユキが動いた。
「帰るぞ。」
彼がそう言うとヒバリの腕を力いっぱいひっぱり、抱き上げた。
「やだ離してよ!恥ずかしいでしょ!!」
「離さない。」
ヒバリは言葉をなくした。
「それじゃあお邪魔しました。失礼します。」
秋と秋の母親は呆然と彼らの後ろ姿を見ていた。


「もうそろそろおろしてよ!恥ずかしいんだってば!!」
「だってお前逃げるもん。」
「逃げないよ!!」
ユキはゆっくりとヒバリをおろす。
「昨日は悪かった。百合と一緒にいたこと。でもそれなりの理由はあるんだ。」
「・・・それなりって・・・。」
「今は言えない。」
「なんで?いっつもユキは秘密主義なんだから・・・。もっと私はユキのことが知りたいのに・・・教えてよ。」
「お願いだ。いつか・・・いつか教える。絶対にだ。」
ヒバリが立ち止まった。
「わかってる・・・わかってるんだけど・・・いつも何にも話してくれないじゃん!私がわがままだってわかってる、こんなこと言ったり勝手にやきもちやいて怒ったりしているのは私のわがままなんだってわかってる。けれどユキはいつも何も話してくれない。くれないんだもん!!」
彼女がそう叫ぶと彼は何ともいえない表情でこたえた。
「進路で悩んでるんだ。・・・それで百合に相談した。」
ヒバリが黙って彼の言った言葉を自分の中に取り込む。
「あいつは・・・高校から自分の夢をしっかりともって、アメリカに行った。俺にはそんな決断力がなくてな・・・ごめん、今はこれ以上・・・言えない。」
ユキの表情がだんだんと複雑になっていく。
ヒバリは彼の手を取って言った。
「・・・・ごめん・・・私・・・本当にわがままなこと言ってた。無神経すぎるし・・・ユキのこと・・・ユキの将来のこと・・・まったくわかろうとしなかった。やきもちとか些細なことでカッとなってた。」
「・・・言わない俺も悪かった。・・・いつか言うから。全部。絶対に。」


この時、私は思った。

『本当の恋人になりたい』

結婚という形だけじゃなくて、何でも言い合える恋人に。


「うん・・・お願い。いつか言って?私・・・馬鹿で無神経だから、ユキへの心遣いっていうの?そのー・・・一度考え込んだら周りが見えなくなるっていうの?今みたいに知らず知らずのうちに私があなたを傷つけてしまう・・・だから・・・。」
彼は何も言わずにもう片方の手でヒバリの頭をなでた。


この日は久しぶりに彼とまともに話をした気がした。





「人の生きる道って?」 fin.


        


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