積み上げた本が雪崩を起こして床にばらまかれた。大袈裟な音と共に広がる本の群れに思わず頭を抱え、ソファに身を投げ出した。全てのやる気が失せていく。そもそもこんな時にレポートの山が目の前に立ちふさがるなんて、神様はなんて嫌がらせをしてくれるのだろうか。
携帯にいつもなら入るメールは無い。習慣でメールチェック。けどやっぱり新着メールは無し。当然と言えば当然、もう同じ時間にメールを入れてくれる人間は俺とは関わりを無くしたんだから。
「あー・・・みみっちい」
未練がましくて、何だか逆に笑えてくる。目元を手で覆えば強制的な暗闇に目が眩む。いっそこのまま全部を失くしてしまえたら楽だろうに。
そう言えば、女は夢見がちでありながらもリアリストであるという、矛盾を内包できる生き物だと友人が言っていたように思う。違う友人は女にとって男なんていつでも簡単にあしらえる存在なんだ、とも言っていた。ああ、そうなんだろう。男はバカな生き物だとアイツも最後に言っていたじゃないか。
読みかけだった資料を手に取る。下らない事ばかりが書いてあってすぐに投げ捨てた。借り物だって言うのにこんな粗雑な扱いをして、もしページが折れてでもいたら・・・なんて小さな事は気にしなかった。
女なんて何考えてるか全然わかりゃしない。どうして欲しいかなんて口に出さなきゃわからないのに、わかれだなんて無茶を言ってみたりして。本当に、気紛れもいいところだ。誰か女の解剖書みたいな本を出してくれれば楽なのに。
そう言えば明日はバイトだった。バイト、バイトに行かなきゃならない。俺がこんなにもショックに打ちひしがれているってのに世界はぐるぐる回り続ける。いっその事自転が止まってしまえばいいのに。そうすれば地球滅亡だ。もういっそ、滅亡してしまえばいいのに。
ああ、何か眠い。今日は色々あって疲れたんだ。寝よう。レポートは明日からやればいい。けど明日バイトだったっけ。いいや、もう、何とかなるだろ。適当にやりゃ単位はくれるだろうし。寝よう。とりあえず、眠い。
おやすみ。


34.嘘でも今日を失くして

(夢を見た。アイツの夢だ。俺は何て未練がましい。)
2style.net