IF





TF




――愚かな質問を殺そうとしたけれどどうしてもそればかりは出来なかった。
例え話が憎むべき存在であるということは知ってる。
そんなものがあるから人間の心が動き、乱れ、高まってゆくのだ。
それでも俺は人間だった。例え話が好きだった。
「……先輩、もしもですよ」
「……あー」
窓の近くの椅子に座り、雑誌を読む先輩に例え話を持ちかける。
(先輩は雑誌に夢中で俺の話なんて殆ど聞き流しているだろうが)
例え話を他人に聞かせるということはもちろん期待をしていた。
でもそれは儚い期待だと知っている。もう無駄なのだ。
それでも俺は人間だった。無駄と分かっていながらも頑張ってしまう人間だった。
「俺が先輩の敵で、闘いの途中、バッタリ会ったらどうします?」
「殺す」
……ウキウキな期待を綺麗サッパリ殺してしまうその一言に俺は苦笑した。
思った通りの展開だった。これ以上はなかった。
「……俺も殺します、先輩」
ニコリと微笑んで俺は言う。
先輩は雑誌から目を離し、少しだけ笑った。
「……おめーに言われると腹立つな、コラ」
例え話は上手い具合にくるくると宙を舞った。
忘れていたけれど先輩も人間だった。例え話が好きだった。















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